ビデオゲームは現実世界を模倣する、殺すゲームが求められる
「皆さん、いろいろなゲームを想像すると思うんですけど、多くのゲームは何かを倒したり、何かを殺したり、自分が優位になるという仕組みのゲームになっています。
ビデオゲームが現実世界を模倣するということを逆に考えると、ゲームが殺すものであればどういう物語があるべきか、敵を殺すゲームが希望に満ちた明るい世界であるはずがないわけです。」
今回取り上げるゲームの原作を手掛けているヨコオタロウ氏のインタビューを読んだとき、僕は思いました。
「この人が作るゲームなら信用できる。この人が関わったゲームをプレイしてみたい。」
というわけで選んだゲームタイトルは
まだプレイを始めてから数週間ですが、こんなにのめり込めるゲームは久しぶりです。
今回の記事では「どうして僕はこんなにもこのゲームに惹かれるのか」を自分なりに検証しながら、僕がハマるきっかけとなった楽しさが何倍にも変わる1つの方法を書いていきます。
この記事の目次
シノアリスは面白い?どんなゲーム?
ゲームの舞台は物語と言葉が支配する空間「ライブラリ」現実と妄想の狭間の世界という設定です。
「アリス」「白雪姫」「シンデレラ」といった物語の主人公達が、自らの未来を書き換えることを願い「作者の復活」のために殺し合うという「最悪の物語」となります。
それぞれのキャラクター達には「束縛:アリス」「正義:白雪姫」「暴力:赤ずきん」「卑劣:シンデレラ」と原作のテーマを過激にデフォルメしたようなキャラ設定がされており、子供が見たら夢も希望も砕かれる、まさに「最悪の物語」が展開されます。
ゲームの内容は好きなキャラクターを選んでオムニバス形式のストーリーを進めていくRPGタイプ。
戦闘シーンはスマホRPGによくあるタイプのコマンドを選ぶだけのバトルとなります。
シノアリスをプレイした初日の感想
オープニングのタイトル画面で流れる陰鬱ながらも儚げな美しさを感じる音楽。
そしてダウンロード時にナビゲーターとして登場する薄気味悪さ満点の操り人形キャラ「ギシンとアンキ」
もう、ここまでの数分間だけで確信しました。
「このクオリティはヤバい!!絶対に面白いはず!!」
僕はティム・バートンの映画のようなダークファンタジー系が大好きなので、シノアリスから感じられる退廃的で不気味な雰囲気が本当に好みに合うんですよね。
もうワクワクした気持ちを抑えられずにゲームを進めてみました。
シノアリスのストーリー、バトルシーンをやってみて
子供の頃から「不思議の国のアリス」が好きだったので「アリス」を選んでゲームを開始することにしました。
「どんだけ凄いストーリーなのかな」「不思議の国のアリスも狂っているキャラばかりだからシノアリスとの相性は良さそうだな」とワクワクして進めてみたのですが・・・
ストーリーと呼べるようなストーリー展開がないのです。
ある程度進めてみても、ひたすら主人公(アリス)の心情がポエムのように映し出されていくだけ。
章の最初と最後には少し長文のテキストもあるのですが、ストーリーが進行している感覚はありません。
これはどういうことなんだ・・・。
また、戦闘シーンにも驚かされました。
いわゆるソーシャルゲームのRPGによくあるスタイルのコマンドをポチポチと選んでいくバトルになるのですが・・・
バトルシステムが単純すぎるのです。
ビジュアルは控えめにいっても最高。バトル中の音楽も最高。
でも、ゲーム性がないというか単純すぎるので面白みが感じられません。
少し前からプレイしている「ミトラスフィア」と同じような戦闘シーンですが、絵面は同じでもバトル中のやり込み度は圧倒的にミトラスフィアが上です。
勝手に期待しすぎていただけなのかもしれない。。。
期待値が高かった分、この結果はとても残念でした。
「雰囲気はとても良いのだからもう少し工夫すれば良いのに」と制作側に文句を言いたい気持ちにもなりました。
楽しさが何倍にも変わる!たった1つの方法
シノアリスをプレイしてから二日目。
「もう、このゲームはいいかな」とも思ったのですが、ゲーム全体から漂うダークでシリアスな雰囲気がどうしても忘れられず、もう少しだけプレイしてみることにしました。
「やっぱりオープニングから雰囲気はいいんだけどな~」と画面を見ていると下の方に「ヘッドホン、もしくは音を出してプレイしていただくと、よりSINoALICEの世界が楽しめます」と書いてあることに気付きました。
そういえばヨコオタロウ氏のインタビューで「僕はゲームを含めた映像作品はすべて“音の奴隷”で、ビジュアルや遊びは音の次に相手へ伝わるものと考えています」と書いてあったなと思い出し、ヘッドフォンを装着してプレイをしてみることにしました。
ヘッドフォンをつけてスマホゲームをするのは初めての経験ですので「そこまでする必要あるのか」と自分に突っ込みたくもなりましたが、まぁ、ものは試しということでヘッドフォンをつけてのシノアリス体験です。
まず、オープニングのBGMで身体が溶けそうになりました
全然違う!!ヘッドフォンつけたら全然違う!!
初回プレイ時もオープニングの音楽は良いなと感じていましたが、ヘッドフォンで聴くと全く印象が変わります(本当にまったく変わります)
スマートフォンのスピーカーでは薄くしか聞こえなかったピアノの低音が不安な気持ちを煽り、物悲しいピアノの旋律と優しく撫でるようなバイオリンの響きが絡み合うことで、なんというか『精神が崩壊していくような音楽』になるのです。
※この曲を2時間ぐらいヘッドフォンで聴き続けたら、多分おかしくなります。作曲した方はそういう能力がある方だと思われます(想像と妄想)
ヘッドフォンをつけるとアリスの声が脳内に直接響きます。そしてアリスとシンクロするのです(少しやばめ)
オープニングの音楽でシノアリスの世界に引き込まれたままストーリーを進めてみました。
相変わらずバトルの前に少しだけ流れるアリスの独白つぶやきポエム。
ただ、何かが違うような気がします。
まず、ヘッドフォンを装着することで「アリスのつぶやき、アリスの独白」を耳元で感じられるようになりました。
声優さんが誰だかは知りませんが「その声をもっと聞きたい!」とバトル中のタップが早くなってしまうぐらい、その声を渇望している自分に気付きます。
そして「アリスのつぶやき⇒バトル」⇒「アリスのつぶやき⇒バトル」⇒「アリスのつぶやき⇒バトル」⇒「アリスのつぶやき⇒バトル」・・・
台詞が短いので「アリスのつぶやきとバトル」をテンポよく進ませているうちに
アリスとシンクロしたような感覚になりました。
脳内に直接響くアリスの声。
「この右腕が壊れようとも。この左腕が避けようとも。諦めはしない。」というアリスのセリフに反応して
バトル中のポチポチする指に力が入ってきたり
「彼女がそう望むのなら、俺も一緒に戦う。この行為が狂っていると言われても画面を押し続ける」
とアリス口調で考え出したりと、結構やばめな思考になってくるから不思議というか怖いです。
で、こうなるとシンプルで単純なバトルシステムが生きてくるのです!
細かいことは考えずに相手によって武器を選んでポチポチするだけのシンプルシステムだからこそ、シノアリスの世界観から醒めることなくハマり続けられるのです。
「早くアリスの声が聞きたい」「もっとアリスを感じていたい」
そんな思いからか、バトル中のコマンドボタンが「ちょっと凝った次へボタン」みたいな感覚にもなりました。
これが計算されたゲーム設計だとしたらと考えると恐ろしくもあります。
逆にまったく計算されていないことだとしたら自分のヤバさが怖くもあります。
ちなみに、その日は休日で家族もいなかったこともあり、ぶっ続けで6時間ぐらいやってしまいました(超おバカさん)
でも、シノアリスのこのハマったときの面白さは結構本当にヤバいですよ。
もはやゲームをしている感覚ではない不思議な体験
シノアリスをプレイしているときのこの感覚。
これは普通のゲームをしているときには味わったことがない、僕にとっては未体験の領域でした。
まだ数週間しかプレイしていない奴が何を語ってんだと思われてしまうかもしれませんが
シノアリスというのはソーシャルゲームの形をした、なにか新しい体験をするためのツールなのではと思ったりもします。
ヨコオタロウ氏や開発チームの方達がどのような狙いをもってこのゲームを作ったのかは知る由もありませんが「ソーシャルゲームという枠を突き抜けるような思いがあるのかも」と余計な深読みをしたくなるぐらい底知れぬ魅力を感じるゲームだと思いますね。
とはいっても、電車の中でランクを上げるために無音でプレイをしているときや、イベントや共闘プレイをしているときは「どこにでもあるRPG」をやっている感覚です。
ヨコオタロウ氏のインタビューでは「ゲームをプレイする人には、極力自由な発想を持っていてほしいのです。」とも語っていましたので、色々な楽しみ方ができるというのがゲーム本来の形でありシノアリスの魅力なのかもですね。
まとめ
今回はシノアリスの楽しさが何倍にも変わった1つの方法を書いてみました(ヘッドフォンをつけただけですが)
ただ、熱が入りすぎて長々とした記事になってしまいましたが(これでもかなり削りました)それだけシノアリスが魅力的なゲームだということでもあります。
魅力をまとめるのは難しいのですが、一言でいうとしたら
「世界観が素晴らしすぎです」
RPGの紹介では使い古された「世界観が素晴らしい」というフレーズを使うのは少し抵抗がありましたが、それ以外にしっくりくる言葉が見つかりませんでした。
ですので、もう一度書きます。
「世界観が本当に素晴らしすぎるのです!!」
ユーザーレビューでは評価が二分していましたので、決して万人受けするゲームではないのかもしれません。
でも、刺激的なゲーム体験をしてみたいなという人は試しにやってみてください。
そして、そのときはヘッドフォンを装着してのプレイを推奨します。
結構、ヤバいですよ。
追伸
原作を作ったヨコオタロウ氏が「最初に思い描いたのがエンディング」だというシノアリス。
エンディングの素晴らしさには定評のあるヨコオ氏がどんなエンディングを用意してくれているのか、想像しただけでもワクワクしてしまいます。
■シノアリスのエンディングを妄想で予想してみました!
【シノアリスのエンディング予想】妄想だけで語ります
僕はやっと「現実編」に突入する段階ですが、ネットでも大騒ぎになったとんでもない展開らしいのでストーリーを進めるのが楽しみで仕方ありません。
まだまだ追加されるシナリオがあるとのインタビュー記事がありましたので
この「最悪の物語」まだまだ楽しめそうですよ!
会社 | Pokelabo Inc./SQUARE ENIX CO., LTD |
サイズ | 396MB |
カテゴリー | ダークファンタジー/RPG |
OS | iOS8.0以降/Android OS4.4以降 |
配信日 | 2017年6月 |
価格 | 無料(一部アイテム課金あり) |